2018年6月8日、各メディアが取り上げた【千葉大医学部付属病院CT画像のがん見落とし】【2人死亡】というゾッとする事件について。まず、見落としの犠牲になったおふたりのご冥福を祈るとともに、おふたりのご親族にお悔やみを申し上げます。
ただただやるせないこの事件。どうしてこうなった?なぜ診断を見落とすようなことになるんだ?と憤りつつも、それをひも解くために活字を目で追うのは少々気が滅入る…という方に朗報です。
難解な本の活字よりもわかりやすく事件の背景が見えてくる、おススメの漫画があります。2人にひとりはがんになるという現代の日本において、老若男女問わず読んでいただきたい医療漫画です。
漫画はしばらくワタクシの駄文にお付き合いいただいた後、最後のほうでの紹介となります。「ごたくはいいからさっさとモノを出せ!」というせっかちな方は、もくじから飛んでくださいね(゚∀゚)
神格化された医療従事者と医療過誤
メディアの発達によって、こうした医療過誤が明るみにでる機会が増えてきています。そのたびに思うのは、「自分や身内、親しい人にも、同じことが起きるかもしれない」ということです。
特にわが家の場合は、希少基礎疾患を持っている娘・あんじがいますから、医療過誤の話には非常に敏感になります。というのも、あんじと同じ疾患であるアイセル病だった男児が、入院中に医療過誤によって命を落とした事案があるからです。
その男児は、人工呼吸器のアラームを停止した状態で看護師がベッドを離れたため、呼吸器が外れていることに気づかれずに呼吸不全を起こしたとのこと。いうなれば凡ミスです。
とはいえ、医療従事者も患者と同じ人間ですから、ミスがあるのは当然だと、患者サイドも頭ではわかっています。しかし、患者サイドは医療従事者を無意識に神格化しているのも事実。
とりわけ病理を診断し、治療方針を決定する【医師】ともなれば、「ミスはないのが当たり前」といった、無神経なプレッシャーをかける患者、患者家族も多いものです。
自分や家族の命を預けるからには、医療従事者を信頼しなければならないという重圧を背負う患者側。対して、患者の命を預かるからには、病院で起こる物事の一切に責任を負うといった覚悟を示し、患者側からの信頼を得る医療従事者。
双方に共通してあるのは、”信頼”という名の”呪い”かもしれません。
マジ死ねないから!診断は慎重にお願いします。
命を預かる現場に従事する者にとって、原則的にミスは許されません。そのため、今回の2件の【がん見落とし】に関しては、誰しもがわが身を案じるニュースになったと思います。
医療的ケア児の母という立場から言わせてもらうと、「幼いわが子を残して死ぬわけにはいかない!」と堅実にがん検診を受けている親からすれば、せっかく受けた検査が水泡に帰す事態になるなど、許せるわけがありません。
医師の見落としによって、親の子に対する思いが裏切られたとあっては「けしからん!」では済まない話です。親に何かあったとき、健常児でさえ親代わりを見つけるのは難儀するというのに、ましてや医療的ケア児を育てるわれわれ親の代わりだなんて…まず見つかるわけがありません。
したがって医療的ケア児の親の死、イコール医療的ケア児の死といっても過言ではないのです。だからホント、医療的ケア児の親は死ねない。切実です。
もとを正せば厚労省のミスだった?
「がん見落としとか、勘弁してくれよ!」という思いを抱くのは、子を持つ親に限ったことではありません。今は、日本人の2人にひとりががんになると言われている時代です。
せっかく受けたCT検査で、専門医によって「がんの疑いがある」と画像診断がなされていたにも関わらず、担当医が見落としたせいで命を落とす患者がいる。控えめにいって由々しき事態です。
こんなニュースを目に、耳にすれば、老若男女すべてに不安が広がるのは自然の摂理でしょう。しかしなぜ、がん見落としが起きたのか?はたまたなぜ、がん見落としが起きるのか?
そこには、一般人には理解得ない病院の事情があるようです。そもそも世界の先進国に比べて、日本の医師不足は”深刻”といわれるレベル。これは国民の高齢化によって通院する人口が増えているせいもあるかもしれません。
しかし実のところは、厚労省の(無駄な)政策が日本の深刻な医師不足という現状を招いたという説があるのですす。余談ですが、母は、これまでにさまざまな障壁をもたらしてきた厚労省がいけ好かんです。
最近、メディアで厚労省元官僚の話を聞く機会があり、なおさら嫌悪を抱くようになりました。それはさておき、医師不足によって繁忙を極める医師が、激務に疲弊した結果が【がん見落とし】だった可能性があります。
今回の【がん見落としにより2人死亡】が、国の政策の誤りに起因したケースだとしたら、これもまた控えめにいって由々しき事態です。
【がん見落とし】の背景がわかる漫画はコレだ!
さて、ようやく漫画のご紹介です。今回は【がん見落とし】が起こる理由が見えてくる漫画2作品をご紹介します。
【ラジエーションハウス】
【ラジエーションハウス】は、医師免許を持つ診療放射線技師が主人公のお話です。今回取り上げた【がん見落とし】事件とは少々毛色が異なるケースが描かれていますが、2017年に話題になった日本人の【乳がん見落とし】率が高い理由などが詳しくわかります。
個人的に、映像化も近いのでは?と踏んでいます。年代を問わず、女性にはぜひとも読んでいただきたい作品です。また女性の病理を知るために男性にも読んでほしいです。つまり、みんな読んで?(゜-゜)
【フラジャイル】
【フラジャイル】は、正確かつ迅速、そして辛辣に病理診断を下す病理医が主人公の漫画です。2016年には長瀬智也主演でドラマ化もされました。今回の事件に類似したケースも取り上げられているため、日本国民にはぜひとも読んでいただきたい作品です。
あまり大きな声では言えませんが、この漫画のリアルな描写に心をえぐられ、何度頬を濡らしたことか…。ナイショですけどね?シーー(゜b゜)ーー!
【がん見落とし】深層の推理
さて、こちらにご紹介しました【ラジエーションハウス】と【フラジャイル】の2作品ですが、漫画だからとあなどることなかれ。ぜひ読んでみてください。とにかく読むのです。
読了後は、事件の表面だけをなぞって憤り、【がん見落とし】は単なる【医師の失態】だと結論付けるのは早計だったと思うやもしれません。自分や家族、そして親しい人たちの命を担保するためには、医療過誤がいつ、どこで起きてもおかしくない日本の医療現場の窮状を知らなければならないのです。
患者側の求める理想的な医療と、医療従事者側が提供したいと考える医療に、差はありません。どちらも望むのはたったひとつ、患者の命を守る安全かつ正確な診断と治療なのですから。
そんな医療の現場をリアルに想像できる漫画を読み、自分なりに【がん見落とし】が起きた背景を想像してみてください。活字じゃなく、漫画だからこそ理解できる部分があるかもしれませんね。