24 時間ぶっ続けで行う医療的ケアの小休止。すなわち医療的ケア児が入院したときにおすすめのタスクを 5 つをご紹介。
わが娘あんじがおよそ 5 か月ぶりの入院となった今、この機会を逃すまじ。母、いざ実践。
タスク1:医療的ケア用品の洗浄・消毒
よぉし、吸引器や人工呼吸器用品を徹底的に洗浄・消毒しちゃいましょう。
子供が入院中の今こそ、アンビューバッグやテストラング、吸引器を分解して徹底洗浄するチャンス。
なお、分解・洗浄はこのように行っております
アンビューバッグとテストラング、ちゃんと洗っていますか?え、洗うものなの?とびっくりしちゃったそこのあなた。この記事を読んだのも何かの縁。さっそく今日、洗ってみましょう。難しいことや面倒なことはありませんので案ずることなかれ。[…]
分解ついでに、パーツの劣化も確認。特にゴムパーツは劣化しやすいので、割れや変形を見つけたら買い替えます。
タスク2:在宅医療機器周辺とベッドの掃除
わが家では普段、人工呼吸器置き場にキッチンワゴンを使用しています。医療的ケア用品の収納もこのワゴンです。
在宅医療用品の収納ならキッチンワゴンが便利です。人工呼吸器ユーザーの娘のマストアイテム、キッチンワゴンをご紹介いたします。人工呼吸器の収納に便利なキッチンワゴン[itemlink post_id="5258"]わが家では[…]
まずこのワゴンをいちど空にし、ホコリや汚れを除去。収納していた外用薬や CV ケア用品の使用期限を確認。
開封後 1 か月以上が経過している塗り薬は破棄。ワゴンのビスやナットも締め直します。
頻繁に移動させているので、締めてみるとけっこうゆるんでいます。危ねえ。さらにキャスターに絡んだホコリや糸も除去。
これでワゴンの整理・整備は完了です。お次は酸素濃縮器。電源を切り、ダスキンハンディモップ(愛用中)で丁寧にふきふき。
最後はタスク 2 の本命。気合を入れてベッドを掃除します。
ベッド掃除は腰に用心
ベッドとその周辺を本格的に掃除するのはなかなか覚悟が必要です。とにかく腰には気をつけなければ。
まずベッドの底板を外して外に出し、洗い流すか水拭きをして汚れをよく落とします。
次に次亜塩素酸水をまんべんなく噴霧して、要らないタオルや古着などで拭き取ります。
余談ですが、次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは別物です。
〈参考:次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの同類性 〉
酸性~中性
無色透明
殺菌・消臭作用
塩酸または塩化ナトリウム水溶液を電解して生成
アルカリ性
黄色っぽい
殺菌・漂白作用
水酸化ナトリウム水溶液に塩素を反応させて生成
拭き掃除が終わった底板は、からっからに乾くまで天日干し。お次はベッドのフレームも次亜塩素酸水でふきふき。
このとき次亜塩素酸水はフレームに直で噴霧せず、雑巾に染み込ませて使用します。
噴霧した次亜塩素酸水を吸い込んでしまうと気分が悪くなるときがあるので。
フレームを拭き終わったら、ベッドまわりの壁や床も拭いていきます。すべて終わったら、部屋を換気。
湿気や臭い(体液に反応して発生するプール臭)が残らないよう、よ~~く乾かします。
タスク3:医療的ケアの反省と改善点の洗い出し
おのれの医療的ケアの手技を振り返り、見識を深めます。子供が入院すると、入院「させてしまった」という自責の念に駆られることもしばしば。
至らぬ自分への怒り、怒涛の後悔。その思いを医療的ケアの手技を見直し、改善点を洗い出す原動力に変えちまおう作戦。
というわけで、母は次のようなことを実践しております。
入院の原因から予測。医療的ケアの問題点
あんじが入院したとき、気になるのはその原因。まず、次の 5 つの場面から在宅生活における問題点を洗い出します。
- 自宅
- 外出時
- 医療的ケア用品
- 気切部
- CV
①②③ では温度や衛生の管理に不備はなかったかを振り返ります。② では接触者から感染した状況を推察。
④⑤ では衛生状態と管理方法を振り返ります。今回のあんじの症状は、何らかの細菌感染だろうとのこと。
となると、改善点は次の 3 つです。
- 吸引用の水は 7 時間に 1 回以上交換
- 吸引カテーテルは乾燥させて保管
- CV にはバクテリアバリアのドレッシング材
実践するとなれば、手間もコストもかかりますな。が、まあ、日常になれば大丈夫。
順序を前後して、改善点の洗い出し方はタスク 4 にて。
タスク4:医療的ケアと在宅医療機器の再学習
医療的ケアと在宅医療機器について、あらためて学習することで改善点を精査する作業です。
タスク 4 こそタスク 3 の核心。各項目ごとに参考資料を検索し、読み込み、実践する方法を模索します。
吸引用の水は8時間に1回以上交換
分泌物吸引後のカテーテル洗浄用の水(通し水)は、8 時間以内に 1 回以上の交換を推奨されています。
吸引回数が多いわが家では、半日に 1 ~ 2 回は交換しています。参考資料では 8 ~ 12 時間ごとの交換を勧めていますので、現状維持する意向です。
残留塩素がある水道水には、一般的な細菌は生存できないとされています。
一方、精製水や滅菌精製水は、有機物が存在するとまたたく間に雑菌の温床に。
いずれにせよ、カテーテル洗浄のたびに 1 回分にとりわけた水を吸いきることがもっとも衛生的です。
しかしそれはちと難しいので、わが家は水道水をマメに交換する方法でやっていきます。
吸引カテーテルは乾燥させて保管
1 日に何度も再利用する吸引カテーテルは、乾燥した容器で保管します。
これまでわが家では、低水準消毒薬(塩化ベンザルコニウム 0.01 % + エタノール 10 %)に吸引カテーテルを浸漬して保管してきました。
おかげでおよそ 4 年もの間、入院することなく過ごしてこれたのだと考えております。この管理方法は継続したいところ。
ところが今はエタノールが手に入りにくい状況です。エタノール無添加の低水準消毒薬へのカテーテル浸漬はノー推奨。
ここは腹をくくり、衛生的に乾燥保管する方法に踏み切ることにしました。
とにかく吸引後のカテーテルはアルコール綿でより丁寧に、まんべんなくぬぐい、付着物を残さぬよう目を光らせます。
そしてカテーテルを保管する容器には極力湿気がこもらないよう、珪藻土ブロックを投入。
カテーテル交換時に容器は洗剤で、珪藻土ブロックは流水で洗浄し、どちらも次亜塩素酸水で消毒します。
あとは次の交換時まで、自然乾燥させるだけ。うむ。特段の苦労なく実践できるでしょう。
CV包交にはバクテリアバリアのドレッシング材
今後の CV 包交には、バクテリアバリア機能を謳うドレッシング材、キュティポアを使用します。
というのも、今回のあんじの発熱の原因に CV 感染が疑われたから。
思えば今回の症状は、以前に経験した CV 感染のときとそっくり。
とりあえず母ができることといえば、CV 包交の見直ししかありません。
まずコスト重視のドレッシング材はもうやめます。ちょっと割高でも、刺入部にはキュティポアが一番。
しかし業者さんいわくキュティポアは 120 円/枚。手痛い出費でやさぐれずにはいられません。
ところが 75 円/枚で購入できるネットショップを発見。
CV・ブロビアックカテーテル保持者が不自由なく在宅で過ごすには、防水処置が肝心かなめ。というわけで、防水に重きを置いたあんじの包交方法をご紹介いたします。プールや温泉などを楽しみたい CV 保持者のご参考になれば幸いです。CV包[…]
タスク5:自分時間の充実と休息
ここまで 4 つのタスクを書き連ねてまいりましたが、なんといっても一番だいじなのは休息です。
いつでも心身ともに健やかに。母はパソコンと本に熱中できる時間に癒やされております。
(仕事は遅々として進まないくせに。)本はおのれのみの世界にひたれるユートピア。母の活力源です。
ゆえにそこのあなた。もしおすすめの本がございましたら、ぜひ教えて下さいませ。
子供の入院時を有意義かつポジティブに
5 つのタスクをこなした今、母の気分は晴れやか爽快。あんじの退院後は自信をもって呼吸器ライフをサポートしていけそうです。
医療的ケアの推奨基準は、医学の進歩とともにどんどん刷新されていきます。
にもかかわらず、医療的ケアに関する情報は自ら学ぼうとしない限り得られる状況にありません。
子供が入院したときこそ、医療的ケアの見識を深め、あいまいにしていた問題を解決するチャンスです。
自信を育み、ゆ~~っくり休むタスク。おすすめです。