弟妹から遅れること 1 週間。長男、ようやく 2 学期始業式です。
どんより曇り空の夏休み明け。雨の予報は悪魔のささやき。
「車で送っていけ!」とごねるかと思いきや、存外、素直に出ていったのでホッとしました。
いってら。
読書の秋と感傷と
長男を 2 学期の始業式に送り出すのもこれで最後。
たったそれだけのことでこんなにも感慨深いとは。
来年から長男に 2 学期がおとずれることはありません。感慨深い。
近頃は長男が生まれた頃に出版された本を読むことが増えています。
そして真夜中、ふと思うのです。どうにも感傷的すぎやしないかと。
いや、それも仕方がないんかなー。
人生の半分を共に生きてきた存在の重みはすごい。
桃栗3年、柿8年、柚子の大馬鹿18年
母が 18 年もいっしょに暮らした人間は長男ただひとり。
18 年もあれば柚子の木だって鈴なりの実をつけるんです。
18 年ってほんとうにすごい。
これまでさんざん耳にしてきた言葉がいま、改めて思い出されます。
「親は子供といっしょに成長する」
「子供に育ててもらって親になれるんだ」
まさにそれと実感するには十分な時間がたったわけで。
母は長男のおかげでようやく人間に擬態することができました。
長男を産む前の母なんて、珍獣扱いされていましたからね。
珍獣って。失礼しちゃう。まあ…否定はできない生き物でしたが。
いまだに怪しいモノを見る目で見られるときもあります。
それでも母の周りの良き人間たちは、臆せず母と肩を並べてくれます。
感謝しきり。
珍獣より生まれし人の子の名
そんな珍獣に育てられた長男ですが、わりと実直な青年に育ってくれました。
母の珍獣時代を知る人間たちの喜びもひとしお。
生まれたばかりの長男に会いに来てくれた友人たちとのやりとりが思い返されます。
「名前はなんて付けたん?」
「おん、ユウトやで。」
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「あんた…ユウトって… 遊び人って書くヤツか…?」
「いんや、はるかないつくしみでユウト」
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( 歓声)
「おまえ、本当に親になったんだなーー!!」
とか言って。失礼しちゃう。
ともあれ、これが母の珍獣卒業、人間の親と承認された瞬間でした。
無責任なエールをキミに
こうして人並みの祝福を受け、この世に生を受けた長男。
すくすくと成長すること 18 年。幸い、珍獣の血脈は露見しておりません。
(たぶん。)
さもまっとうな人間のもとに生まれたかのように正しい見識を身に着けてくれました。
(たぶん。)
だからきっとキミはこれからも大丈夫。
(おそらく。)
さしあたっては最後の 2 学期を楽しんで。先の見通しは明るいよ。
たぶん。